2024/02/06
硬質クロムメッキ浴の種類
硬質クロムめっき処理をするめっき槽の中身には主に3種類のめっき浴があります。
弊社では③の高効率浴を使用していますが、ここでは基本的なめっき浴をご紹介いたします。
・サージェント浴
液組成 無水クロム酸を主成分とし、硫酸で構成
温度50℃ 電流密度40A/d㎡が標準です。
【メリット】
無水クロム酸と硫酸のみを含有する極めて単純な浴で、管理がしやすく幅広い用途で利用されている
硬度と耐摩耗性を生み出すことが出来るめっき浴で、最も古い。
【デメリット】
他の2つに比べ、めっきの硬度が低い・めっきが粗い、めっきの光沢がにぶい。
めっき処理に時間が掛かる。耐摩耗性で劣る。
・フッ化浴 (混合触媒浴)
液組成 無水クロム酸、硫酸、3価クロム、触媒(フッ化物)で構成
温度 55℃ 電流密度40A/d㎡が標準です。
【メリット】
サージェント浴と比較して、電流効率が高いので、めっき析出が速く、鉄・鋳物へのつき回りが良く、
生産性で優れている。
【デメリット】
めっきが析出しない停電流密度部分(ノーメッキ部分)で鉄素材が溶解するため、陽極、専用治具、
めっき設備が腐食し易い。
真鍮や銅にはあまり向かない。
・高効率浴
液組成 無水クロム酸、硫酸、3価クロムの他、有機物触媒を含有する高速めっき浴
温度 60℃ 電流密度 60A/d㎡が標準です。
【メリット】
電流効率が高く、低電流密度部分(ノーメッキ部分)を溶解せずに従来浴の2~3倍のめっき析出が可能。
析出スピードが速く量産、自動化に適している。
高硬度で光沢が良く、マイクロクラックが生成しやすいため耐食性が良い。
【デメリット】
特殊な有機物触媒を使用するため自社分析が出来ず、材料メーカーの分析と調達になり、触媒原価が高い。
標準の温度が高く腐食性が強い強酸液のため設備損傷が多くなる。