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硬質クロムめっき(ハードクロムめっき)専門メーカー 第一化学工業株式会社

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2025/01/20

硬質クロムめっきについて②

 

はじめに

 

 

前回は、硬質クロムめっきの基礎知識について解説しました。

 

今回は、硬質クロムめっきのメリット・デメリット、そして実際の作業工程について解説していきます。

 

硬質クロムめっきのメリット

 

 

硬質クロムめっきは、その優れた特性から、様々な分野で活用されています。主なメリットは以下の通りです。

 

高い耐摩耗性: 硬度が高いため、摩耗に強く、製品の寿命を延ばすことができます。

 

耐熱性: 比較的高温環境下(200℃位)でも安定した性能を発揮するため、高温になる部品にも使用できます。

 

寸法安定性: 熱膨張率が低いため、温度変化による寸法変化が少なく、精密な部品にも適しています。

 

摺動性: 表面が滑らかで、摩擦係数が小さいため、摺動部での摩耗を低減することができます。

 

硬質クロムめっきのデメリット

 

 

一方で、硬質クロムめっきには以下のようなデメリットも存在します。

 

環境負荷: 硬質クロムめっきには、めっき処理工程の中で六価クロムという人体や環境に有害な物質が
使われております。
※しかし六価クロムは、直流電流で分解され、部品に積層される際には金属クロムとして析出され、
金属クロムは無害です。

 

高コスト: 特殊な設備と熟練の技術が必要なため、他の表面処理に比べて高コストとなる場合があります。

 

水素脆性: 一部の金属材料では、水素脆性と呼ばれる現象が発生し、強度が低下する可能性があります。
※弊社では2025年よりベーキング炉を導入しました。これにより金属中に含まれた水素を除去することが出来ます。

 

併せて弊社ブログ内のベーキング炉の導入②もご覧ください。水素脆性処理についても書いております。

 

 

 

硬質クロムめっきの作業工程

 

  

硬質クロムめっきは、大きく分けて以下の工程で行われます。

 

1.前処理: メッキ前の製品を洗浄し、油汚れや酸化皮膜などを除去します。

 

2.めっき: クロム酸溶液中に製品を浸漬し、電流を流してクロムを析出させます。

 

3.後処理: 水洗、乾燥を行い、残留液を洗い流します。

 

弊社で、めっき処理を行う際の詳しい工程につきまして、別ブログに記載しておりますので、
併せてご覧ください。

 

 

 

 

注意事項

 

 

硬質クロムめっきを行う際には、以下の点に注意する必要があります。

 

環境への配慮: 六価クロムを使用する場合は、適切な廃液処理を行う必要があります。
※弊社では、めっき処理時に使用する工場内の全ての水をイオン交換樹脂塔(ワコンナ―)で有害物質を完全に
除去し、純水に変え、工場に戻し、再利用することで公共下水道への排水をゼロにしています。

 

安全対策: クロム酸溶液は人体に有害であるため、作業時には保護具を着用するなど、
     安全対策を徹底する必要があります。

 

品質管理: 膜厚や硬度などの品質を厳密に管理する必要があります。

 

 

まとめ

 

 

今回は、硬質クロムめっきのメリット・デメリット、そして作業工程について解説しました。

 

硬質クロムめっきは、その優れた特性から、様々な産業で利用されていますが、
一方で環境問題やコストなどの課題も抱えています。

 

次回の記事では、硬質クロムめっきが実際にどのような製品に利用されているのか、
そして今後についても解説していきます。