会社の幸せと人々の幸せ
人を自然人といい、会社を法人といいます。堅い話をするようで恐縮ですが、法律的にいうとこうなります。 会社は法律によって成立(設立)していますが、人と同じように生きています。生きていくためには当然に収入がなくてはなりません。会社は、いろいろな経済活動をすることによって社会の中で収入を得て生きているのです。 経済活動をするということは、即ち利益を得るために活動することです。 もし、利益を得ることを目的としないのであれば最初から公益法人にすればいいのです。言い換えれば、会社というのは生まれながらにして宿命的に利益を上げる義務を負っているということになるのです。
ところで大変唐突な話ですが「人は何のために生きるのか」「人の幸せとは何なのか」ということを考えたことがありますか。 誰もが一度や二度真剣に、いや深刻に考えた経験があると思います。しかし、この問いに答えることは非常に難しいことです。それは、その人その人で人生観や価値観が違いますし、生い立ちや生き方、生活環境も違うからです。 どうせ短い一生だから、自分自身のために自由に生きるんだ。という人もいるでしょう。また、自分の家族のため、会社のため、あるいは、世界平和のためという壮大な理想を持っている人もいるかも知れません。そういう生き方に幸せを感じて生きていけるという人がいれば、それが、一番幸せな人かも知れません。 この問いは、人間としての一生のテーマであり、永遠のテーマです。 私は、宗教家ではありませんし、倫理研究者でもありません。唯の一中小企業の経営者に過ぎません。でも、いつも何か事が起こると、この問題について考えさせられてしまいます。
さて、私は冒頭で、会社は法人という“人”であり、生きるためには利益を上げなければならないといいましたが、それでは、いったい次の問いに何と答えたら良いのでしょうか。 「会社は、儲けるためにのみにあって良いのか」 「会社は、誰のためにあるのか」などの問いかけです。 でも、行き着く結論はいつも「自利とは即ち利他をいう」ことなのです。 それは、「広く世のためになる」ことを意味しています。 何か人の為になったとき、困難に遭遇した人を救ってあげられた時、私達は「あゝ良かった」「あゝ自分も安心した」と思う事でしょう。私達の心の中には、いつも、誰しもそういう優しい心があるものなのです。それを、成し遂げた時に心の中に大きな満足感や達成感が沸いてくるのでしょう。 人の為になった時のうれしさが、つまり幸福感なのです。これが「自利とは即ち利他をいう」と、いう事なのです。
先に、お話したように会社の存立は、利益が上がらなければ不可能となります。ですから、会社は、そこそこに儲からなければなりません。でも、儲けるだけでよいのでしょうか。会社だけ儲かって社員が苦しむというのは良くありません。会社が儲けると同時に社員も幸せにならなくては意味がありません。会社あっての社員ですけど、また、社員あっての会社でもあるのです。経営者という者は、社員の明るい笑顔を見ることが、大変うれしいものです。
会社が儲かったら、次に何をするべきなのでしょうか。それは、儲けの何分の一かは社会に還元することです。働く国民の全体がその働いて得た収入の一部を社会に還元することです。これがなかったら社会そのものが成り立ちません。これが、税金です。当社では、計算上出た税金は、きちんと、喜んで納めております。税金を納めて初めて社会の一員と認められるのです。納税は義務であり、生きるためのコストだと考えています。さらに、当社では、毎年利益の何パーセントかを日本赤十字社に寄付をしておりますが、これも広い意味で税金の一部だと思っています。世の中は、“共存共栄”です。自分だけ幸せ。なんて絶対ありません。良い製品を造り、元気な社員と共に努力を重ね、人々の幸せと社会の発展のために貢献できれば経営者として、これ以上の幸せはありません。